伊勢の旅⑤-3 完結

あああああ! 優次です( ,_ノ` )y━・~~~

2015年も今日で最後ですね! やっと完結です。

 

伊勢の旅 ②-1 ②-2 ⑤-1 ⑤-2

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彩楓は、振り払えない不安を抱えたまま、拝殿へと向かった。

それは、何度払ってもすぐに戻ってくる蠅の群れのようだった。

 

01

 

拝殿は、幅が10m程のなかなか立派なものだった。

中央の扉が観音開きに開け放たれている。

その中に、老人の曲がった背が見えた。

竹ぼうきを持って立っている。

掃除をしているわけではない。

ほうきは杖代わりなのか、ただ、立っている。

神職の格好ではない。

古びたジャージを着ていた。

優次と二人で近づいていくと、その老人はゆっくりと振り返った。

目がトロンとしていて、空いた口は洞窟のようだった。おそらく歯がないのだろう。

まばらに残った髪、そして髭も、手入れされず不揃いに伸びている。

なんだか異様で、少し不気味だった。

なんとなく、彩楓も優次も立ち止まってしまった。

老人は、少しの間ジッと彩楓達を見ていたが、やがて片足を引きずるようにしてゆっくりと歩き出した。

 

05

 

彩楓と優次は、老人が拝殿から出て行くまで、黙って見ていた。

老人がいなくなったので、参拝しようと拝殿に行くと、また違和感を感じた。

違和感の正体はすぐにわかった。

賽銭箱と鈴の配置だ。

普通、賽銭を入れて鈴を鳴らし、参拝する一連の動作は、一箇所に立ち止まったままできるようになっている。

賽銭箱が大きな場合は鈴が手前にあり、鈴より賽銭箱が前にある場合は賽銭箱は小さい。

 

02

 

ところがここは、大きな賽銭箱が手前にデンと置いてあり、その奥に鈴がぶら下がっている。

賽銭箱の前からは、大人が腰を曲げても鈴に手が届かない。

参拝者が鈴を鳴らすには、回りこんで賽銭箱の奥に立たなければならない。

 

03

 

参拝したいなら、まず金を払え。賽銭も入れずに参拝などさせぬぞ。

 

そういう意思が感じられる配置だった。

やれやれという思いで賽銭を入れ、それから回りこんで鈴にたどりつく。

鈴を鳴らし2礼2拍手し、そして霊眼を開いた。

 

何かの姿が視えた。

それは彩楓がこれまで視てきた神々とはまったく違う者だった。

黒く、禍々しい闇の塊。それも相当強いエネルギーを持っている。

一体二体の人霊や動物霊が出す怨念のエネルギーとは格が違う。

数十体、もしかしたら百体を超える怨霊の集合体か。

それが、神の座に鎮座している。

 

コレは、神ではない。

 

ココに来てから、ずっと感じていた不安。

不安の波形が、一段上がった。その時・・・。

蠢く闇の中に、目が現れた。

両目と眉間までが、陰影として闇の中に浮き出して視える。

その目は彩楓を睨みつけ、強烈な怒りをぶつけてきた。

 

04

 

お・の・れ~、見破ったかぁあ!

 

その感情を、彩楓はモロに浴びてしまった。

高まっていた不安は、一瞬にしてピークを突破し、恐怖となった。

脳が痺れたように、思考が止まる。

止まった思考を無理矢理に動かす、が、当然まともな判断はできない。

 

怖い、コワイ、怒っている、私を、偽神、早く帰・・・

コワイ、私は今、何をしている、拝殿、こ、

拝殿での参拝が終わった、次は、何をすれば・・・、

そうか、本殿、本殿を見に、行こう

 

フラフラと誘われるように、彩楓は本殿へと近づく。

そこは、偽神の本拠地だ。

その時、脳裏に声が弾けた。

 

「もう辞めなさい! すぐにここを立ち去りなさい!」

 

うけちんの声だった。

 

06

 

平手で頬を張られたように、彩楓は正気に戻った。

 

ダメだわココ、早く帰ろう!

 

え? なんで?

それ、は、・・・

 

なんでと言われても、その説明をしようとすると、喉が詰まってしまう。

ここは偽神の霊力の支配下。

その正体をバラされないように偽神が彩楓の喉を抑えていた。

 

08

 

ここでは説明もできない。

とにかく脱出するのが先だ。

不思議がる優次を引っ張るように車に戻る彩楓。

 

ちょっと待ってよ、トイレ行きたいわ。

 

しかし優次はこのタイミングでトイレに行ってしまった。

 

07

 

仕方なく先に車に戻り優次を待つ彩楓。

正気には戻ったものの、不安も恐怖もまだ消えてはいない。

早くこの場所を出たい。

早く! 早く戻ってこい、優次。

 

そんな彩楓の焦りも知らず、呑気な顔で戻ってくる優次。

運転席に乗りエンジンをかけ、バックを始める。

優次は車を切り返しながら、また彩楓に聞く。

 

ここの何がダメだったの?

 

それ、は・・・、

 

声を絞りだす彩楓。

やはり喉が苦しい。

 

ここに・・・、いる・、のは、

 

その正体を口にしようとしたまさにその時、

後ろからのドシンという轟音に車が揺れた。

振り返ると、車の右後部がドラム缶のような大木に衝突していた。

 

09

 

うわー! しまったー!

 

優次が慌てて車から降りて衝突部の確認に行った。

慌てる優次とは裏腹に、彩楓はなぜか安堵していた。

 

「憑物が落ちた」

 

そう感じていた。

それまでの、喋りたくても喋れない圧迫感、不安、恐怖などがすっかり消えて、

 

「よかった、これで終わったんだ」

 

そういう安心感に変わっていた。

 

もうー、バンパーが凹んでテールランプも割れちゃったよー

 

優次が、割れ落ちた車の部品を手に車内に戻ってきた。

 

ああ、もう最悪だなー

 

いや、よかったんだよ

 

え? いいわけないだろ! 車壊れたぞ!

 

優次は不機嫌になっていたが、彩楓には何が起こったのかよくわかっていた。

大木との衝突、大きな音、それは、お祓いだったのだ。

偽神の怒がまとわりついたまま神社を出ていれば、大木との衝突どころではなかっただろう。

おそらく大きな事故を起こす事になったはずだ。

柏手(かしわで)は両手を叩き合わせて大きな音を出す。

 

kasiwade01

 

その音には邪を祓うチカラがある。

大木と、車の右後部、それらが巨大な柏手となり、偽神の呪いを祓ったのだ。

ぶつかった衝撃音に振り返った時、彩楓は車内の右後部にあるものに気づいた。

それを見て、何が起こったのかを悟り、安堵したのだ。

車内の右後部にあったもの・・・。

それは、伊勢で買った天照大神の御札だった。

 

10

 

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という事で伊勢の旅シリーズ終わりでーす。

オチが作ったみたいによくできてますが、全て本当にあったノンフィクションです。

皆様、来年もよろしくお願いします。

よいお年を~!

プロフィール

望月優次

Author:望月優次

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